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相続について

銀行における遺言信託(民事信託ではない件)

投稿日:2017年6月1日 更新日:

こんにちは、税理士のおぎーです。

 

今回は銀行の遺言信託について。

 

お客さん訪問先の近くの神社にて

 

 

遺言信託とは

自己の財産のうち不動産や預貯金口座が多数あり、将来の相続発生時に備え、銀行側に遺言の作成から保管、執行に至るまで総合的にサポートしてもらえるのが、遺言信託です。

 

遺言信託というのは銀行や信託銀行の商品名として提供されているのですが、提供されるサービスは大きく二つに分けられています。

 

一つ目は金融機関等が兼営業務として認められている遺言者の作成や財産に関する執行等を行う場合のことを指し、民法上に則った業務(遺言信託業務)があります。

 

二つ目は金融機関等に多岐にわたる自己の財産を委託し、受託者である信託銀行が財産の管理、運用を行い、運用益を受益者に渡すという信託法に則った信託の提供を行います。

 

こちらがいわゆる民事信託のうちの商事信託となります。

 

銀行の一般的な業務は、一つ目の遺言信託業務が取り扱われる事が多いので

「遺言信託は民事信託ではない」

といわれる所以でもあります。

 

遺言信託業務とは

では、銀行等で行われている遺言信託業務とはどういったものなのでしょうか。

 

遺言信託業務には

遺言者の作成相談およびサポート

遺言者の実際の作成および保管ならびに遺言内容等の異動・変更の照会等

遺言者の保管

遺言者死亡後の遺言執行者就任

があります。

 

特に銀行が遺言執行者に就任した場合、遅滞なく、相続財産目録を作成し、相続人に交付する必要があります。

 

相続財産目録を作成することにより、相続財産を明らかにし、遺言内容に従って、遺産の換価、名義変更、引き渡し等の遺産分配をスムーズに行う事ができます。

 

注意事項の一つとして、銀行側の遺言執行者ができるのはあくまでも相続財産の管理・分配に限り、相続人の排除等の身分に関するものは引き受ける事ができないとされています。

 

また、遺言執行者が就任する以前に既に相続人間で法的紛争が起こっており、遺言執行業務を行うことが困難と認められる場合等についても、銀行側は遺言執行者に就任しないものとされています。

 

 

まとめ

銀行等の遺言信託のうち大部分は民法上に則った相続執行等の代理業務がほとんどです。

 

民事信託でいわれる商事信託とは取り扱いが全くといっていいほど異なる(そもそもの民法と信託法の取り扱いが異なる)ため、信託という名はありますが気をつけるべき商品のひとつなのかなと思います。

 

ただ、財産が多くなり手続が煩雑または、スムーズに行いたいためには、遺言信託業務は

「揉めない相続」

にするためにはひとつの手法であると考えています。

 

【編集後記】

2月から開始していた、法人税務調査もようやく終結を迎えようとしています。

税務署側の決算期限(6月末)が迫っているとはいえ、調査官側から

「早くしてください」

と言われるのもどうなのかなとも思います。

 

 

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