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相続について

相続における「残念」な遺言書(絶対に書いて欲しくない3つのケーススタディ)

投稿日:2018年2月8日 更新日:

こんにちは、税理士のおぎーです。

 

今回は、相続における「残念」な遺言書(絶対に書いて欲しくない3つのケーススタディ)について

 

遺言書を書いたけど、、、

当サイトでも度々紹介してきた、相続問題。

将来相続争いを無くしていくためには、一番の有効策は

「遺言書を書くこと」

であると言ってきました。

 

では、将来の子供達や孫のために、

「公正証書にて遺言書を書きました。もう安心です。」

と言った場合に、せっかく作った遺言書は本当に大丈夫なのでしょうか?

ここでは、絶対に作ってもらいたくない代表的な「残念」な遺言書を3つ紹介していきます。

 

有効だけど「残念」な遺言書3つ

それでは、「残念」な遺言書3つを紹介しています。

 

①不動産や自社株など「一部の財産だけ」記載した遺言書

②財産を具体的に指定せずに、「割合のみ」を指定した遺言書

③遺留分への配慮がない遺言書

 

①不動産や自社株など「一部の財産だけ」記載した遺言書

遺言書において、例えば

「自宅不動産を長男に相続させる」

という内容で、遺言書を書き、その他の財産については一切記載のない遺言書を作成したとしてもその遺言書は法的には有効です。

しかし、その他の資産はどうなるのでしょう。

預貯金は誰が相続するのか。

長男と次男の二人兄弟として、不動産を相続しなかった次男が自動的に相続するわけではありません。

預金は不動産に比べて少額だったとしても、遺言書に記載がない以上、預金の解約には全ての相続人の同意が必要です。

長男は、自宅不動産は売却の意志がなければ

「預金は均等に分けたい」

と考えるかもしれません。

一方次男は、長男は不動産を相続するのだから、

「預貯金は全て次男が相続すべきだ」

と主張する可能性もあります。

そういった状況で、長男のみに遺言書の記載があれば、他の相続人は面白くないわけです。

こういった理由で、その他の財産ついて争いに発展する可能性があります。

 

②財産を具体的に指定せず、「割合のみ」を指定した遺言書

遺言書では、法定相続割合を変更することは法律上認められています。

例えば相続人が妻・長男・次男であれば法定相続割合は

妻 1/2

長男 1/4

次男 1/4

 

これを遺言書にて各相続人に

「1/3ずつ相続する」

と遺言書で作成することも可能なわけです。

 

しかし、このような遺言書の作成はお勧めできません。

財産をもらう割合だけ決めただけでは具体的にどの財産を誰が相続するのか不明だからです。

残された相続人は

「では、誰がどの財産をもらおうか」

という話し合いをする必要があり

安易に、土地の持分を1/3に分けたとして、将来相続人の一人が売ろうとした場合他の相続人の許可が必要です。

他の相続人が売ることに反対であれば、結局相続後、暫くしてからもめる原因となります。

遺言書を書く際は、割合を決めるのではなく、

誰にどの財産を渡すか

明確に規定しておく必要があります。

 

④遺留分の配慮がない遺言書

一部の相続人には「遺留分」という最低限保証された取り分があります。

この「遺留分」を無視した遺言書は後に問題を残すことになります。

もちろん、遺留分を侵害した遺言書が全てダメなわけではないのですが、後に

「自分の遺留分を侵害する部分は返して」

請求された場合まで想定して遺言書を書くべきです。

「遺留分」という言葉を知らなかったという理由で、後の問題を想定せず、遺留分を侵害した遺言書を安易に作成することは、トラブルのもとになります。

作成する場合には正しい知識と注意が必要です。

 

まとめ

相続における「残念」な遺言書を3つ紹介してきました。

いずれの遺言書でも、トラブルにならない可能性もあります。

ただ、裏を返せば、トラブルになる可能性も多分に含んでいるわけです。

3つのような書き方の遺言書があるがために相続人間で争いになり、

「こんなはずではなかった」

という事がないように、「残念」な遺言書は書くべきではないです。

覚えておきましょう。

 

【編集後記】

四国の愛媛では概ね雪の影響はなくなったのですが、南予つまり愛媛の南側は雪の影響で高速道路が止まったりで、交通機関も麻痺しています。

同じ県でも住んでいる地域でこんなに違うのかと改めて考えさせられました。

 

 

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