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相続について

相続発生前後に凍結前の預金口座を引き出してよいか?(安易な考えは必ずバレると思っておこう)

投稿日:2018年1月9日 更新日:

こんにちは、税理士のおぎーです。

 

今回は、相続発生前後に凍結前の預金口座を引き出してもよいか?(安易な考えは必ずバレると思っておこう)

冬空の公園にて

 

相続における凍結前の預金口座

相続の現場において、亡くなった人の預金口座が凍結されると預金の払い戻しをするためには様々な書類や手続きが必要になります。

相続人が1人であればよいのですが、複数人いる場合や相続人が遠方にいる場合手続きが完了するまでに1カ月や遅ければ3カ月や6カ月かかることもあります。

そうした観点から一般的に

「預金口座が凍結する前に引き出しておくことは可能か」

と聞かれることは良くあります。

 

回答としては

「何のために凍結前にお金を引き出したいのか」

と目的によって大きく異なることを説明する必要があります。

 

預金口座凍結前に引き出したいという理由として大きく分けると3つに分けられます。

①亡くなった人の預金口座のお金を減らすことで相続税を減らしたい

②ほかの相続人にお金を減らすため、亡くなった人のお金を少なく見せたい

③当面の資金繰りのため

 

①亡くなった人の預金口座のお金を減らすことで相続税を減らしたい

こちらは相続に相談に来られた方や、実際に相続が開始している方の資料を拝見した時によく見られます。

亡くなった日の前後に○十万というお金が激しく動いていることがあるのですが

焦ってお金を引き出しても全く意味がないです。

相続税では相続開始時点での亡くなった人の財産に対して税金がかかるのですがそれは預貯金だけでなく現金も含まれます。

従って仮に亡くなった日の前の日に預金口座から50万引き出していたとしても

相続開始時点で50万の現金を持っていたとするのが当然の流れです。

ですので亡くなった人の財産が預金から現金へと形を変えただけですので相続財産の増減はないものとみなされます。

なお、預金口座を見られなければ大丈夫だと思いがちですが、税務署から相続税の調査が来た場合、税務署側の権限で預金の取引履歴を調べることができます。預金関係は隠そうとしても必ずバレるので覚えておきましょう。

 

②ほかの相続人に渡すお金を減らすため、亡くなった人のお金を少なく見せたい

こちらも、相続人が複数人いる場合、絶対にやってはいけない行為の一つです。

仮に他の相続人にばれた場合、相続人同士のトラブルの元になりますし、相続においては亡くなった人の相続財産を分け隔てなく明らかにするのが円満な相続の第一歩です。

隠そうとした人は「他の相続人にバレなければよい」と考えるかもしれませんが、各相続人は単独で亡くなった人の預金口座の入出金履歴を取得することが可能です。

フェアではない相続財産の情報は争いの元になりますので必ず勝手な凍結前の預金引き出しは控えましょう。

 

③当面の資金繰りのため

こちらは葬儀費用や税金の支払い等のため凍結前の預金口座からお金を引き出したいと考えることもあるかもしれません。

こちらは相続人全員の関係性によるのですが全員が一時的な資金確保のためお金を引き出すことに合意しているのであれば問題が起こる可能性は低いです。

しかし、こちらも相続人の1人が独断で引き出しを行った場合「お金を隠そうとした」とあらぬ疑いをかけらる可能性もありますので資金繰りが目的であっても凍結前に預金を引き出すのはリスクがあります。

相続人全員で話し合い、円滑に預金口座の凍結解除の手続きをする方がトラブルも少なくなります。

 

まとめ

相続における凍結前の預金口座の引き出し。

多くの場合はお金を税務署や他の相続人に隠そうとして行う可能性があります。

ただし、相続の現場においては「隠そうとした」ものは必ずバレるのが筋です。

それによって、税務署から隠ぺいとして重加算の疑いをかけられたり

他の相続人とのトラブルや相続争い

を避けるためにも、凍結前の預金口座の引き出しは控えるべきですし、緊急性を要しないように生命保険等を上手くなく活用すべきです。

 

【編集後記】

今週から四国でも雪予報。車でのスリップは気をつけたいと思います。

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