こんにちは、税理士のおぎーです。
今回は、税理士職業賠償責任保険(主契約で知っておきたい3つの事)について
税理士業務における賠償保険
税理士業務をしていると顧問先等から賠償責任を問われる場合があります。
勤務時代を含め、損害賠償となる事例は自分自身無いのですが、ケースによっては賠償されるリスクは事務所には常にあります。
金額が小さければ、事務所自体として責任の負担は小さいものですが、金額が大きくなると事務所事態の存続自体が危うくなる場合もあります。
そういったリスクの軽減のためにあるのが、
「税理士職業賠償責任保険」
です。
特徴としては
税理士や税理士法人が税理士資格に基づいて行った業務によって生じた損害賠償請求に対して補償をするものです。
保険の加入自体は強制ではなく、任意での加入のため加入方法(個人か法人か)によって加入率に差があります。
ちなみに開業税理士などの個人保険向けは
四国全体では 46.2%
全国平均でも 48.0%
税理士法人の法人保険向けは
四国全体で 80.2%
全国平均で 83.0%
個人用は開業税理士の2人に1人が加入している状況
法人用は全体の8割で加入しているので
法人向けの損害賠償保険の方が加入率が高くなっています。
税理士法人は2人以上の税理士が必要なので担当する企業の数や売上規模に応じてリスクが高くなるので加入率も高くなるといった状態です。
知っておいてもらいたい3つの事
損害賠償保険(以下、税賠保険)で知ってもらいたい事は3つ
・対象となる税理士業務
・補償する内容
・補償の対象とならない場合(免責事由)
対象となる税理士業務
税賠保険は一般的な他の保険と同じく、主契約と特約があるのですが
主契約となる対象業務は
「税理士法に規定されている業務」
となります。
具体的には
独占業務である
「税務代理・税務書類の作成・税務相談」
そしてこの3つに付随した
「財務書類や会計帳簿の記帳代行」
その他として
「裁判所における補佐人としての陳述」
も補償となる対象業務に含まれます。
補償内容
ではどういった場合に税賠保険の適用になるのかといえば
・税理士として業務を委嘱した納税者に対して財産上の損害を与えた場合に、納税者側から損害賠償請求を起こされ、税理士側が法律上の賠償責任を負うこととなった場合
・税理士側の過失により、納税者が過大申告・過大納付した場合
注意すべきは、税理士側の「過失」と「過大」申告等によって補償の対象となること
補償の対象とならない場合(免責事由)
上記の補償をしてくれる内容があるのと同時に、税賠保険の対象とならないものもあります。
具体的には
・過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、延滞税、利子税
・納付すべき税額を過小申告した場合における、修正申告、更正、決定により納付すべき本税
・重加算税または重加算税を課されたことに起因する賠償責任
・遺産分割等に関する助言・指導に起因する賠償責任
・被保険者(税理士側)の故意
こちらも注意すべきは納税者の過少申告・無申告による本税や加算税は税賠補償の対象とならないこと。
実務上、税務調査等では過少申告等の指摘が多いので、補償の対象とならないことは知っておくべき事項です。
まとめ
税賠保険における注意すべき点を3つあげていきました。
主だった説明は保険の主契約部分ではありましたが特約(任意加入)として
・事前税務相談業務担保特約
・情報漏えい担保特約
があります。
税理士法に定める範囲に付加したした形の特約もありますので、きちんと理解した上で、税賠保険には加入しましょう。
【編集後記】
金曜日は税理士会の支部総会へ。
今年新加入など若手税理士も少しづつ増えてきました。