こんにちは、税理士のおぎーです。
今回は税務調査において、調査官から「社長の手帳を見せて下さい」と言われたら?について。
秋空の小川にて
税務調査
税務調査。税務署において6月の異動時期が終われば税務調査の問い合わせも出てきます。
馴染みのない人は「マルサ」をイメージする方も多いのですがこれは令状のある強制的な調査で「強制捜査」を意味します。
調査対象が悪質な場合、各国税局管轄からきますので、地方都市でもお目にかかるのは稀です。
多くの場合は、任意での調査「任意調査」が各支部税務署経由で執り行われています。
税務調査自体は平成23年税制改正において税務調査の手続きの義務化が定められており、税務調査の流れが明確化されています。
簡単な流れでいえば
①事前通知
↓
②各事務所や事業所で行われる場合は調査官の身分証明書の提示等
↓
③質問事項の回答と帳簿書類の提示又は提出
↓
④帳簿書類の預かりと返還
↓
⑤調査結果の説明と期限後申告や修正申告の推奨
↓
⑥是認または修正申告等の提出
という流れになります。
期間は事前通知から1カ月から2カ月での終結が求められています。
もちろん納税者が納得できない場合はそれよりも長引く事もありますが。
③質問事項の回答と帳簿書類の提示又は提出
タイトルにある
「社長の手帳を見せて下さい」
という流れは実際に調査官が調査対象の事務所または事業所に来たときに言われる可能性があります。
多くは取引内容に不明点があった場合に不明時点での社長の行動やメモを把握するためです。
ですが、果たして調査官から
「社長の手帳を見せて下さい」
と言われた時に素直に提示すべきでしょうか?
答えは「ノー」の可能性が高いとなります。
調査官の質問検査権について原則的な規定は国税通則法にもあるのですが
国税通則法74条の2
その者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査し又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる
とされています。
手帳自体は「その他の物件」に該当しそうですが明確な規定はありません。
そこで大事なのが条文にある
「その者の事業に関する」
の部分です。
つまり事業関連性があれば提示する義務があれば手帳を見せる必要がありますが、社長のプライベートな事も手帳に記載されていれば必ずしも見せる必要はないと判断されます。
手帳が事業関連性のあるものとして果たして必要なものであるか?
それを提示しなければ益金、損金が判断できない事例なのか?
が重要です。
ですので、調査の流れで
「社長の手帳を見せて下さい」
と言われれば、安易に見せる必要はなく
一歩止まって、上記のことを調査官に聞くべきです。
調査官によっては社長の手帳も質問検査権に当然に入っていると勘違いしている調査官もいるのでここは注意が必要かと思います。
まとめ
税務調査における
調査官からの
「社長の手帳を見せて下さい」
の言葉。
安易に対応するべきでなく、一歩止まって
手帳を見せることが本当に事業関連性に関係することなのか聞いてみるべきです。
そして社長のプライベートの記載もあれば当然に即座に見せる必要はありません。
ちょっとした一言ですが、調査官の質問検査権が絶対ではないことは注意をしておく必要があります。
【編集後記】
娘(2歳5カ月)が家でも音楽に沿って歌ったり、楽器を叩いたりするようになりました。
そういった娘の成長を見ると嬉しいものですね^_^