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相続について

相続財産の清算について(相続人の不存在)

投稿日:2017年8月15日 更新日:

こんにちは、税理士のおぎーです。

 

今回は、相続財産の清算について

 

 

相続財産の清算における相続の基本原則

相続の基本的な原則は、無主の財産を作らないことにあります。

そのために、相続においては、亡くなった人の死亡と同時に相続財産が相続人に直ちに帰属するという構成になっています。

相続人が明らかである場合は問題なのですが、相続人が明らかでない場合、のちに現れるかもしれない相続人の固有財産ではなく特別財産として、相続財産を管理・清算する必要があります。

その為の制度としてあるのが「相続人の不存在」です。

 

相続人の不存在とは

亡くなった人に相続人がいるかどうか不透明である場合、相続人による相続財産の管理、運用が期待できないことから、相続財産の相続財産の管理主体を暫定的に決めて、管理・清算させる必要でてきます。

また、相続人が不透明である場合、相続人の詮索をする必要があります。

詮索しても相続人が現れなかった場合には、清算後の相続財産を最終的に誰に帰属させるかを決定する必要があります。

これを一般的に「相続人の不存在」といいます。

 

相続財産の管理・清算と相続人の捜索

相続人の存在が明らかでない場合には、相続財産は法人のもの(相続財産法人)とされ、家庭裁判所が利害関係人、検察官の請求によって相続財産管理人を選任して、管理人が相続財産の管理・清算を行っていきます。

また、家庭裁判所は、相続財産管理人や検察官の請求に基づき、相続人捜索の公告により相続人の捜索を行い一定の期間内(事例にもよりますが10カ月以上経過後)に相続人が現れなければ相続人の不存在が確定します。

注)一定の期間内

1.相続財産管理人選任の公告 2カ月

2.相続債権者および受遺者に対する請求申出の公告 2カ月以上

3.相続人詮索の公告(6カ月以上)

合計10か月以上期間が必要

 

残余財産の帰属

①特別縁故者による財産分与

相続人の不存在が確定した場合には、亡くなった人と特別の縁故があった人(特別縁故者)がいれば、その人が家庭裁判所に対して財産分与を請求し、家庭裁判所の審判により承認があると、その特別縁故者に対して相続財産の全部または一部が与えられます。

ここでいる「特別縁故者」とは

亡くなった人と生計を同じくしていた者、亡くなった人の療養看護に努めていた者でその他亡くなった人と特別の縁故があった者

と定められています。

実際には、内縁の妻や事実上の養子関係にある者、付き添う看護師や老人ホーム、地方公共団体なども特別縁故者として認められる場合があります。

 

なおよく争点なるのが土地の共有者の一人が死亡し、その相続人が不存在が確定した場合、そう共有持分が、

特別縁故に帰属するのか

共有持分者に帰属するのか

問題になります。

結論としては特別縁故者に対する財産分与が優先され、それでも財産分与がなされたかった時は他の共有持分者に帰属すると判断されています。

 

②国庫への帰属

特別縁故者からの相続財産の分与請求がなかった場合や、特別縁故者からの相続財産の分与請求が家庭裁判所において認められなかった場合は、残余財産は国に帰属すると定められています。

 

まとめ

相続財産の清算。相続人が確定している場合はいいですが、身寄りもなく子供や親、兄弟姉妹がいない場合は「相続人の不存在」となります。

多くの場合、相続人以外の方が亡くなった後の処理をするのですが、家庭裁判所等への手続きと時間を要する必要があります。

こういった事例も多くなるため、エンディングノートや遺言書の作成が手続きの迅速化につながると思います。

 

【編集後記】

今日からお盆休み。

暦上は休みではないので平日扱いですね。

休日と勘違いしていて危うく更新を忘れるところでした汗

 

 

 

 

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